診療案内

子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)

診療内容紹介

子宮筋腫は30~40代の女性の約5人に1人に見られる頻度の高い病気です。月経過多や強い月経痛、貧血、膀胱圧迫による頻尿など日常生活に支障を来たす場合は治療対象になります。今までは、ホルモンを用いた薬物療法が効かない場合は、子宮摘出や筋腫核出など手術が治療の中心でしたが、最近は新たな治療選択として子宮動脈塞栓術(Uterine artery embolization = UAE)が注目され、当院でも産婦人科・放射線科が協力して実施しています。

UAEは、1995年のパリ大学からの報告以来、世界中で普及しています。本邦では従来、自費診療のため施行施設は限られていましたが、最近、子宮筋腫を適応症とした球状塞栓物質の認可に伴い、保険診療で行えるようになりました。(但し、産婦人科と放射線科の十分な連携のもと球状塞栓物質の使用認定医が行う場合に限る)

UAEはインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)と呼ばれる血管内治療を専門にした放射線科医によって血管造影室で行われます。太ももの付け根の動脈から局所麻酔で約1mm径のカテーテルを左右の子宮動脈に挿入し、塞栓物質を流して筋腫の血流を遮断することにより、筋腫の縮小や症状の改善を図ります。

UAEの一般的な適応は

1. 子宮筋腫による月経・圧迫症状が強い
2. 薬物療法が無効
3. 筋腫核出術後の再発
4. 子宮温存を希望

などが挙げられます。

但し、UAEによる子宮内膜や卵巣への影響はまだ不明な点も多く、将来挙児を希望される場合は原則的に適応がありません。子宮腺筋症を合併する場合は、効果が低くなる場合があり、慎重な適応判断が必要です。

術前検査として、超音波や造影MRIによる子宮筋腫のサイズ・部位・個数・血流及び子宮腺筋症合併有無の確認が必要です。その他、感染のリスクになる子宮内膜炎や、子宮がんが隠れていないかなど産婦人科で検査しておく必要があります。

欧米や本邦の報告では、UAE1年後における症状改善率80-90%、筋腫縮小率50-60%と非常に良好ですが、長期的には再増大や再治療を必要とする可能性もあります。また、合併症として、子宮感染・膿瘍による子宮摘出(1%未満)、壊死した筋腫の分娩(3%未満)、卵巣機能障害による無月経(45歳以下3%未満、45歳以上15%未満)、深部静脈血栓症に伴う肺塞栓(1%未満)なども報告されています。

当院では、産婦人科・放射線科両方の外来を受診して頂き、各担当医とよく相談の上UAEの適応を判断します。入院期間は通常約5日間で、以下の流れです。

1. UAE前日に放射線科病棟に入院(産婦人科共観)
2. 当日は治療約1時間半、ベッド安静約4時間、以後歩行可能
3. 2-3日間観察して体調に問題なければ退院
4. 翌週以降は日常生活や仕事に戻れます

より安心してUAEを受けて頂くために、詳しくは私たちの外来受診をお勧めします。

診療体制

UAEに関するご相談・診察は
放射線科IVR外来:木曜午前
産婦人科UAE外来:木曜午後