研究課題名 | Dual-energy CTを用いた肝細胞癌の描出・診断に関する検討 (大阪大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会:承認番号16462) |
---|---|
目的 | Dual-energy CTは、物質がX線エネルギーによって線減弱係数を変化させる作用に着目し、その差を応用して画像化する技術である。通常のCTでは、白黒画像の濃淡でCT値を表現しているが、これに対しDual-energy CTは、異なるX線エネルギー帯域に対する線減弱係数の違いを画像情報に加えることが可能となる。腹部CTによる肝細胞癌の診断において、Dual-energy CTの診断能(腫瘍検出・脂肪検出)や画質を評価するのが、本研究の目的である。 |
方法 | 2011年4月~2021年12月までの間に、本院のDual-energy CT撮影が可能なCT装置(GEヘルスケア社製 Discovery CT750HD)を用いて腹部CT検査が施行された肝細胞癌を有する成人患者を対象とする。症例数を設定する根拠になる情報が現在のところ得られていないため、これまでの同種研究でよく用いられてきた対象症例数と同程度の症例数(約100例)での研究を予定している。 本院のCT装置(CT750 HD)を用いて施行されたCT検査の既存のデータをもとにスペクトラル・イメージング技術を用いて画像を再構成する。その際、再構成条件を変えて複数の種類の画像を作成する。このようにして得られたDual-energy CT画像について、放射線診断医が画像を評価する。この際の検討項目は、病変の視認性・診断能、アーチファクト、病変コントラストとする。これにより、肝細胞癌診断における最適な再構成条件を求める。また、Dual-energy CTデータを用いて、脂肪定量画像を作成する。ただし、大阪大学では脂肪定量画像を作成できないため、匿名化された画像データをGEヘルスケア・ジャパン株式会社に送り、脂肪定量画像を作成して返送して頂く。返送された脂肪定量画像を用いて、肝細胞癌や肝実質における脂肪濃度を計測する。計測は大阪大学の研究者が実施する。Dual-energy CTに加えてMRIも施行された患者について、MRIによる脂肪検出能と比較する。病理標本が得られている症例については、病理検査による脂肪検出結果との比較も検討する。 |
医学的・社会的意義 | 肝細胞癌は、肝原発腫瘍の中で最も頻度の高い悪性腫瘍である。Dual-energy CTを用いることで、病変の検出や脂肪含有量の測定を行える可能性がある。 |
本研究に画像データ提供をしたくない患者さんについて | 患者さんの中で、自らのデータを本研究に使用してほしくないとお考えの方は、拒否することができます。担当者(放射線医学講座:堀 雅敏)までご連絡下さい。 |