研究業績

人工知能を用いた医療画像診断支援ソフトウェア開発のための後ろ向き大規模画像症例データベースの作成

1.研究の対象

大阪大学医学部附属病院で撮影された医用画像(CT・MRI・単純X線画像・超音波画像・PET・SPECT)を対象とします.疾患としては胸部領域では肺結節やびまん性肺疾患,腹部領域では肝臓・膵臓病変や胃・大腸や腎などの腫瘍性疾患や頭部の血管性病変や腫瘍病変などの多臓器・多疾患を対象とします.本研究ではすでに撮影済みの過去10年間の画像症例を対象とします.対象とする年齢は成人(20歳以上)とし,健康人は対象としません.

2.研究目的・方法

本研究の目的は人工知能技術を用いて医用画像における多臓器・多疾患の病変の検出・鑑別やレポート作成をおこなうコンピュータ支援診断(CAD)システムの開発をおこなうことです.
大阪大学で既に撮影されたCT・MRI・単純X線画像・超音波画像・PET・SPECTの画像症例に対して画像における病変とそれに対応する読影レポートの所見の紐付けされたデータベースを作成します.画像症例に対しては,画像上の各臓器を自動認識,さらに病変の検出をおこなうためのAI開発をおこないます.また読影レポートに関しては,自然言語処理技術を用いて読影レポートの解析をおこない,病変部と紐付け可能な単語(形態素)をラベル化します.そして検出された病変と単語の紐付けをおこなうAIの開発をおこないます.これらのAIの基盤となる技術の一部は既に開発済みのものを用います.また紐付け作業の精度と効率化のために前向き研究で収集した紐付けデータや本手法で作成された紐付けデータを用いた半教師あり学習による手法で作業の効率化をはかり,大規模な画像と所見の紐付けされたデータベースの作成をおこないます.
尚,研究期間は,研究機関の長の許可日 ~ 西暦2029年3月31日とする.
利用又は提供を開始する予定日は 2010年1月です.

3.研究に用いる試料・情報の種類

CT・MRI・単純X線画像・超音波画像・PET・SPECT,病歴・画像所見データなど.

4.外部への試料・情報の提供

本研究は大阪大学と富士フイルム(株)との共同研究であり,富士フイルム(株)へ画像検査データと読影レポートの提供がおこなわれます.画像検査データと読影レポートに関してはすべて匿名化がおこなわれ,個人の情報が特定できないように処理がおこわれます.

5.利益相反について

本研究は,富士フイルム株式会社との共同研究で実施されます.また,我々の講座は,同社の共同研究費を受けて運営しています.
研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という.)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると,その企業に有利となるように研究者が研究結果を改ざんあるいは解釈したり,また都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます.(こうした状態を「利益相反」といいます.)   
この研究における利益相反は,大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け,承認を得ています.我々はその審査結果に基づき,利益相反を適正に管理して研究を行います.

6.研究組織

大阪大学大学院医学系研究科人工知能画像診断学共同研究講座
特任教授 堀 雅敏

富士フイルム株式会社
桝本 潤(企業側研究統括)

尚,データセンターは,大阪大学大学院医学系研究科人工知能画像診断学共同研究講座に設置する.富士フイルム株式会社は人工知能を用いたソフトウェアの開発をおこなう.

7.問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい.ご希望があれば,他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で,研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい.また,試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので,下記の連絡先までお申出ください.その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません.

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:

大阪府吹田市山田丘2-2 大阪大学大学院医学系研究科人工知能画像診断学共同研究講座
電話:06-6879-3432
担当者:堀 雅敏(研究責任者)

研究責任者:

大阪大学大学院医学系研究科人工知能画像診断学共同研究講座
特任教授 堀 雅敏